期待期待超期待

拡張幻想がなかなか素晴らしいので感想でも書こうかと。

ネタバレ?・・・・あるよ。


・宇宙でいちばん丈夫な糸 小川一水

カーボンナノチューブについての話だけど、別段それに限ったことじゃなくて広い意味での技術について書いているように思います。それを綺麗な物語としてまとまっているかと。最近とやかく言われているけど、このくらい技術って凄んだぜ!というを観てると嬉しくなりますよね。

・5400万キロメートル彼方のツグミ 眉村卓

発明者♂と宇宙探索機♀?とのボーイ・ミーツ・ガール。この手の話久しぶりで逆に新鮮な気分になった。忘れてたけど本当はこういったの好きなんですよ。
でも、はやぶさの打ち上げ突入をリアルタイムで見ていた人に向けたところが大きすぎて一般的なボーイ・ミーツ・ガールにはならないんだろうなぁというのが悲しいですね。

・交信 恩田陸

はやぶさを知っている前提で読まないと辛いのでは。ただ、知識さえあればたった1ページでも華やかで輝かしいものを見て取ることができるのではないでしょうか。


・巨星 堀晃

小松力が足りない。
ただジュピターを感じます。

・新生 瀬名秀明

小松力が圧倒的に足りない。


・Migthy Topio とりちぇんちぇ

ギャグっぽくさらっと描いてしまうのは流石です。
この手の話はいろいろあるかと思います。ただ今まで未来の象徴であったアトムの持つ意味がガラっと変わってしまったというのは複雑な心境ですよね。

・神様2011 川上弘美

教科書に乗っていた神様のリメイク。私も小中どっちか忘れましたが教科書に載っていたことを覚えています。とても大胆なことしたものだなぁと。
思いっきり原発の話なんですが、観点がそこで生きていく人達になっているので角の立たないものになっていると感じます。
 
・いま集合的無意識を、 神林長平

フィクションの持つ力を説き計劃に心配するなと言い放つ。そして新たな問題として暴走するフィクションを提示する。その姿には感動を覚えるほどです。
私も古い人間なのでしょう。計劃の打ち出した知性と意識の独立を受け入れたくないと感じる一方、それが正しくないとも言い切ることも出来なかった。そんなところに一石を投じたそんな作品。

・美亜羽に贈る拳銃 伴名練

計劃トリビュートで読んだので、再読はしてないんですよね。
他のブログさんで名前からわかるように計劃トリビュートですって紹介されていたんですが、名前だけだったらカジシンの美亜に贈る真珠が真っ向に出てくるだろうとのたまうのがカジシンファンの思考。
で、計劃トリビュートで読んだ時にはいやぁこれはなかなかおもしろいと思っていたのですが、計劃トリビュートとしてというより普通の作品としておもしろいと感じたのを覚えています。

・黒い方程式 石持浅海

NOVAでも石持浅海の作品を読んだんですが、ちょっと飛んでるなかに日常ふんだん盛り込んでいって現実味を出してく人なのかなと。

・超動く家 宮内悠介

期待の新人の宮内悠介。馬鹿SFメタミステリというミステリ者が読んだらどう反応するのか気になる作品です。この人の引き出しがよくわかりません。ただ、面白いので期待してます。

・インザジェリーボール 黒羽雅人

こっちもSFミステリ。登場人物の意図をどんどん裏切っていくのは心地いい。この設定はまた利用されるのだろうか気になります。

・ふらんけんフラン 木々津克久

予想以上にSFしていてびっくりしたというのが良くない感想。

結婚前夜 三雲岳斗

小松風に言うと階梯を技術的にあげることのできるようになった世界で、進んでいく娘と残される親というものを書いたもの。
こういったテーマだと、進んでいったものはどうなるのかってのが気になってしまう。この作品では、また今の人間と同じことを繰り返すのではないかという危惧と人を信じようというところになってるけど、その先を見てみたいんだよなぁ。

・ふるさとは時遠く 大西科学

結婚前夜の世界観で隔てるものが時間の流れになった感じです。標高に時間の流れを直接的に結びつけたのはわかりやすいし面白いとおもいます。

・絵里 新井素子

今回一二を争う作品かと考えてます。物語的にも訴えかけるものもかなり鋭く仕上がってます。
狂ってるような気がするけど否定もできない。よりよい遺伝子を残すという原始的な欲求を科学が叶えていった末に失われるものを書いてます。

・良い夜を待っている 円城塔

円城さんまじ円城。
ただ読みやすいとは思います。父親のキャラクターや超記憶の解釈というテーマは魅力的です。
読んでる途中、これはクオリアの問題になるんじゃないか!?とか考えてたんですが、冷静になってみると違いますよね。

・全ての夢|果てる夢 理山貞二

創元短編の新人賞受賞作品です。先の一二を争うところの対抗馬となってます。SFファンのSFファンによるSFファンのためのSF。ということで、かなり内輪向けですがSFものにはたまらない。どこみてもSFみたいな作品です。
恐らく要素要素を切り出して独立さして考えるとちょっと・・・て思うところが出てくると思うんです。ただの詰め込みすぎの場合はまず読ませる作品までならないと思います。で考えたのが、この人は山田正紀のようなハッタリSF(褒め言葉)の才能をあるのではないかと。冒険的SFに理論がねじ込んできて飛躍と共に進んでいくというところも似てませんかね。
今後の作品にとても期待しています。

今回の新人賞はこのレベルの作品がいくつかあったということなので原色にも期待がもてます。期待の新人が多く出るというのは嬉しいですよね。SFいけるんじぇねって気持ちになりました。