Robot to Human

あ、Vita予約できました。

・静かな恋の物語
宇宙物理学者と生命科学家の恋愛物です。科学者のイメージから淡々としていると思うかもしれません。ただ科学者なりのロマンがあります。一般的な恋愛物としては弱いと感じる人がいるかも知れませんが、決して平容なものではありません。
加えて、希望にも通ずる科学のエレガントさというテーマにも触れられていると思います。希望では、悉く既存の美的感覚を破壊していきますが、こちらはまだマイルドにアントとシニノムのような関係。之については議論はあるだろうと思いますがね。

基本的に科学者はよりシンプルに世界を表現しようとする。なので有名なe=mc^2なんかは非常にエレガントだと言われるわけです。ここから私個人的なことな考えですが、これは偶然だと言う風に感じます。そして、その偶然に神秘性を感じる人がいると。その感覚は否定しません。ですが、私は混沌として汚らしいものが本質だと考えています。この物語の生命科学家の考えに近いのです。彼の言うとおり生命はひと通りには記述できません。もっともな例では、我々は多くの矛盾をはらみ真実をあべこべにとらえ倒錯する。これはエレガントとは言えないのではないでしょうかと。

・ロボ
人間と動物とロボットというテーマ。ざっくりとは言い難いのですが、ある作家が嫉妬から復讐しようとする話ですか。うーん。ちと違う。難しいです。読んでみてください。
ここに登場するウイルスは家畜を管理するためのウイルスです。しかし、意図とは反して高度なコミュニケーション手段を授けてしまう。といえばいいですかね。

高度に発達したロボットは、もはや人間と区別が付かない。よもや、機能としてはそれを上回る。人間との友愛と書いた作家は追放された。それはロボットの負の面をつきつけられたから。こう見てみると薄情ですよね。
人間を超えたロボットを見て人間が獲得したのは動物との理解。これは作家を始めた一部の人間がウイルスにより獲得した機能なのです。ここでは、その機能がどう世界に広まるかは書かれない。寧ろ、黙殺されるかのようにもみえる。無論人間ではなく異種の動物でも意思伝達が可能になる技術です。これは世界をひっくり返すほどの影響があるでしょう。それ故か確信的なところには触れられない。あくまで可能性。この世界観で書いた話が読みたいです。

後半、狼のロボと人間の作家が交流するシーンは鳥肌モノです。情緒的で感動的。人間と動物がファーストコンタクトするなんて本当に夢のよう。人間も動物であるというメッセージかもしれない。このシーンだけは読むべき。新しいものが見えてくるはず。