センス・オブ・ワンダー

しあわせの理由 (ハヤカワ文庫SF)

しあわせの理由 (ハヤカワ文庫SF)

流石はイーガンと唸る程の出来。
とは言っても長編は読んだこと無いヘタレSF読みだけど。

九つ短編それぞれがSFマインドに溢れ、かつ思弁的。語りかけてくる本というのはこんな本のことを指すのであろう。科学の素晴らしさ、そして脆さを端的に伝えてくれる。

ハラハラした展開に手に汗握る、闇の中へ。信仰が産む狂気、道徳的ウイルス学者。探偵もの、チェルノブイリの聖母。なぞの量子サッカー、ボーダーガード。人為的にもたらす幸せの存在、幸せの理由。どれも切り口は異なり多彩に思えるのに必ず着地点は同じところに持ってくる。あとがきでも同様のことが書いてあるが、これは真に思える。

ものを読み考える。単純でいて一番面白みのあることだ。